商品説明 露MELODIYA M10 48215-8(2LP) エルデンコ(vn)の演奏で、ヴァイオリン小品集。新旧吹込み。LP初出。一枚目(機械式録音：1914年)・第一面…ミランドル：メヌエット、クライスラー：アンダンティーノ、ウィーン奇想曲、愛の悲しみ、愛の喜び、美しきロスマリン。・第二面…アリャビエフ：夜鳴き鶯、チャイコフスキー：秋の歌、シューベルト：楽興の時、チャイコフスキー：カンツォネッタ、フバイ：クレモナのヴァイオリン作り、ブラームス：ハンガリー舞曲第2番。二枚目(電気録音：1926-1934年)・第三面…バッハ：シチリアーノ、ガヴォット、ショパン：ワルツ、シマノフスキ：パガニーニのカプリース、ドヴォルザーク：ユモレスク、キュイ：オリエンタル。・第四面…バッハ：シチリアーノ(34年録音)、アリャビエフ：夜鳴き鶯、グラズノフ：オリエンタル、エルデンコ：コル・ニドライ、キュイ：オリエンタル、ブラームス：愛のワルツ(34年録音)。エルデンコは1885年生まれのロシアの知られざる名手。ジプシー音楽家のもとに生まれ、そこからモスクワ音楽院へと進み学びます。この人のヴァイオリンのもつ温度や形、その音と周囲への隔絶された距離感は何なのだろう。ジプシー系の奏者にある周囲を喜ばす熱狂といったものは感じず、孤高とも言える不思議な落ち着きがある。風に揺れる穂のようなミランドルのメヌエット、クライスラーのアンダンティーノにある麻布のような味わいに心が落ち着きます。ロマンティックなのに重くなく、そのしなやかさには物言わぬ植物性のものを感じます。アリャビエフの夜鳴き鶯ではロシアのリズムに音が伸び縮みし、チャイコフスキーの秋の歌では雪国の冷たい秋が染み込んでくるよう。フバイでの表現にも驚かされました。誇りを被ったような古びた詩情から立ち上ってくる、上品な香り。二枚目は電気録音時代のものを収録しています。ショパンの節回しに衒いも見栄もなく、音楽の宛先が異なるような気すらする。シマノフスキはどこかカントリー風で、強く踏み込んでこないのになぜかいい。ドヴォルザークもキュイも、この静けさの正体はなんだろう。知られざる陶工の逸品を一人部屋で楽しむような味わい。第四面にはエルデンコ最後の録音が収められています。バッハのシチリアーノ、この音はもう表現しがたいほどに素晴らしい。聴いたことのない美しさです。ジプシーの出自をもつものが、己が魂の底に降りて奏でるバッハ。孤独や隔たれたもの、そこからどのような道を辿ってこのような神品に達したのか。感動しました。グラズノフのオリエンタルも音のオーラで語る。遺跡や遺物のもつ存在感が音そのものにあらわれています。そしてバッハと同じく最後の録音であるブラームス。これも形容し難い素晴らしさ。感情やらなにやらをすっ飛ばして直接にその本質に触れるような音。心を奪われました。こんな奏者がいたのですね。孤高の存在感を放つ演奏です。大推薦。盤質：盤面溝ともとても良い状態。美品～ほとんど美品。ジャケ：きわめて良好。【盤質評価】全面視聴してから出品しています。区分は以下のものを採用しておりますが、必要に応じて詳しく説明するようにしています。美品(Ｍ)：新品並みの状態。ほとんど美品(ＮＭ)：極浅い擦れや軽微な傷。きわめて良好(ＥＸ)：年相応の擦れや浅傷。ひどいものはなし。良好(ＶＧ)：擦れや傷などが目立つ。＊音溝が活きてなければ出しません。■丁寧に梱包して送ります。またトラブルなどには誠実に対処いたしますのでよろしくお願いいたします。